WUGちゃんへ

 WUGちゃん、こんばんわぐ~ こんにちわぐ~

 

 初めてお便りします。といっても、このお便りを手紙として直接お送りすることはありません。ネットの海の中でたまたま見つけて読んでくれたら嬉しいな、という気持ちで書いてます。というか、七人宛の手紙を届ける手段が分からないので……。

 お一人お一人には直接お手紙を送るつもりでいます。が、生まれてこのかたファンレターというものを書いたことがないので、もし煮詰まって結局書けなかったときはゴメンナサイ。

 

 私は最初から一貫して箱推しです。May'nちゃんが言うところの「七人単推し」という表現が一番正しいですね。みんな個性が違う一人一人が大好きで、他のワグナーさんから「それでも誰か一人特別な子がいるでしょう?」と訊かれても、「みんな一人一人が好きすぎて、誰か一人を選ぶなんて無理!そんなのできない!」と駄々をこねるように答えてますw

 一体この気持ちはなんなのだろうと自問したことがあります。私はみんなの親御さんのほうがずっと近い年齢なので、「娘を見るような感じなんでしょ」とよく言われますが、いやいやいや、みなさんが生まれたときから手塩にかけて育てた親御さんと同じ感覚とか、おこがましくて言えません!それにオレ、嫁さんいないし……('A`)

 多分学校の先生の気分に近いのかなと思ってます。もちろん私がWUGちゃんに何かを教えたわけではありません。ただ、私はかつてドイツに住んでたことがあり、そのとき週に一度、日本語補習校で先生のアルバイトをしていました。小学校高学年8人の担任だったのですが、日本から親の仕事で来ていた子は一人だけで、他は皆いわゆるハーフか現地の日本料理屋の子で、ドイツ生まれでした。全員個性が強くてバラバラで、クソ生意気で、でも自分たちの出自にちょうど悩み始める年頃で、ふざけ合ったり、時に喧嘩したりしながらも、結局仲がいいあの子たち一人ひとりが愛しく、それぞれらしく幸せになってほしいと強く思っていました。WUGちゃんたちに対しても、それに近い感覚なのかなと思います。

 

 WUGちゃんたちを知ったのは、最初のアニメ放送のときでした。当初は毎週アニメ視聴後の次回予告を見て「まだまだ全然素人くさいけど、彼女たちなりに頑張ってるなあ」くらいの感覚だったのですが、2月に行われたワンフェスのミニステージを何となくニコ生で見たとき、心を鷲掴みにされてしまいました。当時アニメの評価がお世辞にもよかったとは言えない時期だったのですが、このときのみんなの表情が、今そのステージに立っていることへの喜びに溢れ、そして荒削りながらも一切出し惜しみのないパフォーマンスを披露していて、「あ、この子たちをアニメ終了と同時に終わらせてはいけない。そのためには自分も試されているんだ。」と思わされてしまったのです。

 3月8日SSAでのお手紙やパンフレットには「WUGを見つけてくれて、ありがとう」という言葉がみなさんそれぞれに語られています。でも私には「見つけた」という気持ちはありません。上に書いたように、どちらかというとWUGちゃんたちにガシッと捕まえられた感覚で、それは神様によって仕組まれた出会いのようにも感じます。

それぞれのタイムライン
重なる瞬間
逃したら二度と会えない
昨日まで知らない
君とめぐり逢う
新しい世界のトビラを開くよ 

 この「重なる瞬間」に、見事にとっ捕まったわけですw それは「おいもちゃん」だったWUGちゃんたちが放つ、原石としての光が為せるわざでした。

 

 私はそのニコ生を見た後、すぐに「7 Girls War」と「言の葉 青葉」のCDを購入し、封入されていた優先抽選券を使って、4月に行われた品川ステラボールでのWUG初の単独イベントのチケットを入手し参加しました。このとき初めて会場を緑の光に染めてWake Up, Girls!コールをやったこと、7人がステージに再登場し、まゆしぃが「私たち、持ち歌4曲しかないんですけど…」と言ったのに対して、会場のワグナーみんなが両手で頭上に輪を作り「オーケイ!」ってやったのは、懐かしく忘れられない想い出です。もうこのときから、WUGとワグナーの一体感って始まってたんですね。

 

 そこから、1st~4thツアー、毎年暮れの幕張でのWUGフェス、ソロイベ、二度の舞台やグリーンリーヴスフェスなど、さすがに全通というわけにはいきませんでしたが、お財布と時間が許す限り、参加してきました。ブログやラジオを通じ、WUGちゃんたちの言葉にもずっと触れてきました。一つ一つを振り返ることはしませんが、その間が順風満帆だったとは思っていません。初期のファンの中から離れていく人たちが少なからずいたことも見てきました。

 でも、WUGちゃんたちそれぞれが、ユニットも作品も「WUG」を「HOME」として担いつつ、各々の活動の場を広げていく中で、少しずつ、でも確実に新たなファンを生み出していきました。ライブ会場で隣に座った推し色を着た若いワグナーさんに話しかけると、「〇〇という作品で〇〇を知り、WUGちゃんも好きになりました」なんて答えてくれることが増え、そのたびに嬉しくなりましたよ。

 だってほら、WUGちゃんたちも気づいてたでしょ?最初の頃、なんだか妙におっさんワグナー比率が高かったこと。「あなた、平日は怒らせたら怖い部長さんなんじゃないの?」とか「あんた、絶対リアルタイムでクリィミーマミ見てただろ」って人がやたら目について、同じおっさんワグナーとしては心強いのやら気恥ずかしいのやら……

 そこに若いワグナーさんたちが増えていくのは、とても心強かったです。台湾から来たワグナーさんと話したこともありますが、海外生活経験者としては、そういった国境を越えた広がりが感じられると、本当に嬉しかったです。「WUGを見つけてくれて、ありがとう」というのは、むしろ私の言葉でした。もちろん私だけでなく、私より後にワグナーになった人たちも、その後から来る人たちに対してそう思っていたことでしょう。

 

 これまで、WUGちゃんのツアーを通じて、いろいろなところへ行くことが出来ました。特に2ndツアー仙台千秋楽の翌日、気仙沼に初めて行って震災の爪痕を目の当たりにしたことは、強く印象に残っています。作品を通じ、東北の震災復興支援というミッションを担ったWUGちゃんと出会っていたからこそ、非当事者である私も当事者の記憶に触れるという重いテーマに向き合うことが出来ました。

 ただ、そこで出会った大鍋屋さんの女将さんや若旦那、復興屋台村の人たちは皆明るく優しくて、むしろ私のほうが背中をぽんぽんと叩かれた気持ちになりました。またそこで初めてワグナーたちとガッツリ飲んで交流することも出来ました。楽しかったなあ。

 もちろん東北だけでなく、沖縄や四国徳島など、生まれて初めて土を踏む土地もありました。熊本も高校の修学旅行以来です。そこで出会った人たちと交流し、ライブで一体となり、それぞれの土地が思い出深い「HOME」となっていく。WUGちゃんたちの狙い通りですね!大成功です!

 

 昨年6月15日に突然解散が発表されたときはショックでした。WUGちゃんたちはまだまだ可能性の塊なのに、何故今なのか?いろいろ考えました。私なりに自分を納得させるための理由を作ったりもしました。でもWUGのみんなのほうが、遥かに強い葛藤があったはずです。だから、今はあれこれ詮索する気はありません。

 それよりも、終わりを決めてからのファイナルツアーはとてつもないものでしたね。終わりがきっかけというのは確かに寂しいことですが、でもだからこそ代えがたい濃密な時間と空間が、とてつもない規模で生み出されたのだと思います。

 

 一公演ごとに振り返ると大変なことになるので、仙台2日目のことだけ少しお話します。

 昼公演、そのときは隣の人と特に話すこともなく開演を迎えたのですが、「Polaris」で自然と肩を組み、ライブが終わった後、彼が2ndツアーのブレードホルダーを持ってることに気づいたので、「お互い長くワグナーやってますね」と声をかけたのです。すると「でも4thツアーのあと時間が作れず、実はこの公演がそれ以来なんですよ。それに夜公演のチケットも外れ、SSAも行けないから、これが最後なんです」と話してくれました。でも彼の表情はとても晴れやかでした。かやたんがMCで「この昼公演で最後の人、来てくれてありがとう」って言ってくれたでしょ?あの言葉、彼にとってとても救いになっていたと思います。仙台在住のあいちゃん推しだというので、私の足元にちょうど落ちていた青い銀テープを渡すと、本当に嬉しそうな顔で「ありがとうございます」と言ってくれました。そのとき私は、彼と肩を組めてよかった、彼の分も夜公演とSSAを全力で楽しまなきゃなと思ったのです。

 そして千秋楽となる夜公演、言葉にしつくせないものでしたね。夏から続いたツアーを通じて進化し、濃密となっていったWUGちゃんとワグナーの一体感に、もはや全ての時空を越えていくような感覚に襲われました。特にダブルアンコールの「7 Girls War」。セトリにまったくなかったはずなのに、なんの申し合わせもないまま、よっぴーのソロパートでWUGちゃん7人が一緒に歌い出すと、会場も一緒に、自然発生的に歌い始めました。あの大合唱、もうあの場にいた全員の想いが一つに溶け合っていたかのようでした。

ひとつ みんなでひとつ
答えはひとつだね 

  「7 Senses」のこの歌詞を4thツアーで初めて聞いたとき、実はちょっと眉をひそめました。「答えはひとつでいいの?」と。でもよく聞くと「でも全てじゃない」って歌ってます。

ひとつ みんなでひとつ
想いはひとつだね
(でもカラフルだ)

  そう、ファイナルツアーを通じ、「7つのセンス 7人の個性」は更にワグナー一人一人のセンスと個性とも重なり合い、つなぎ合わせて、ひとつの、でもカラフルな「すごい光」になっていたのです。そして「虹の向こうへ」

約束の地で待ってて
約束の時待ってて
約束の地で見てて
約束の時見てて 

  出来すぎでしょ。只野さん、スゴイよね!

 

 そうして迎えた3月8日SSA。寂しさや悲しさより、最後にもう一度あのすごい光を作りたい、大勢いる初めての人たちも巻き込んで、一生忘れられない「想い出のパレード」にしようという気持ちのほうが勝っていました。そしてそれは絶対成功するとも確信してました。だって、今のオレたちワグナーとWUGちゃんは、かつてないほど最強なんだから。

 その確信は現実となりましたね。さすがだよみんな。WUGちゃんもワグナーも最高だったぜ。細かくは振り返りません。みんな最高で、最強で、本当にすばらしいフィナーレでした。このとき輝いた光の一つになれたこと、それを心から誇りに思います。

 終演後、隣にいた若い二人に話しかけました。WUGのライブを見るのは、これが初めてだったということです。「一緒に肩を組んでくれてありがとう。初めての人たちもいてくれたから、彼女たちにこの景色を見せることができました。ありがとう」って言うと、「いえいえ、こちらこそ。それに僕も頑張んなくちゃなって思いました」と爽やかな笑顔で答えてくれました。

This story is only the beginning!

  新章最終話のラストに映ったホワイトボードに書いてあった言葉ですね。楽しいことや嬉しいことばかりじゃなく、多くの辛いことも噛み締め、「アイドルは物語」を自ら綴ってきたWUGちゃん。でもこの物語は序章にすぎない。よっぴーが言ってましたね。明日から人生の第二章ですって。

 私のような古株も、SSAで初めてWUGちゃんのライブに参加した彼らも、仙台昼が最後だった彼も、途中で去っていったワグナーも、みんな照らし照らされ道しるべとなった光、Polarisです。震災の辛い記憶を背負って始まったWUGの物語は、すごい光となって、東北から全国の、いやきっとWUGを知った世界中の人たちの人生の第二章の道しるべとなったのです。

 今日は3月13日です(ギリギリ間に合った~汗)。あいちゃんが選んだ数字「313」ですね。あの日から2歩進んで、合わせて7人で歩みだす数字。みんなはこれから一人一人の道を歩み始めるのだけど、分かち合ったこの6年間は掛け替えのない一つの想い出です。その想い出を誇りに、さあ、胸を張って行ってらっしゃい!

 まゆしぃ
 あいちゃん
 みにゃみ
 よっぴー
 ななみん
 かやたん
 みゅーちゃん

 5年前、私の心を鷲掴みにしてくれてありがとう!私はもう人生の折り返し地点を回ってしまってるけど、まだまだ老いぼれる年じゃありません。今まで棚上げにしてたことがあるので、みんなからもらった人生の第二章(ウソです。第十◯章)で、本気で取り組もうと思います。だから、いわゆるオタク現場に行くことはほとんどなくなると思うけど、いつだってみんな一人一人のことを応援してます。だってワグナーはいつだって家族、みんなのHOMEですから。

 そしてまた、極上の笑顔で会いましょう。