和気藹々に騙されるな Wake Up, Girls! 新章 ― 第2話「ここが私たちのホーム」

内容(公式サイト 各話あらすじより)
丹下の指示により、寮で共同生活をすることになったWUG。
さらに全国ツアーの構想を聞かされ、驚きつつも期待に胸を膨らませる。
丹下は知名度をUPさせるため、積極的にWUG!個人の露出活動を売り込み始める。

 第2話の感想をはじめる前に、改めて新章が始まった時点での、WUGの置かれている状況というのを想像してみたい。第1話を見た限り、新章開始時点のWUGは変わらず仙台に留まり、全国ネットのテレビ出演は殆どしていない。前作では1回目のアイドルの祭典出場後に東京の大手プロダクションbvexから声がかかり、一度は東京進出しメジャーデビューしている。しかし東京のビジネスルールに馴染まず、一旦仙台に戻って自分たちらしさを見直し、再度アイドルの祭典に出場して優勝、という大団円をもって、物語に一区切りを付ける。

 そこで本来なら、再び勢いに乗って東京進出してもおかしくないだろう。しかし一度失敗しているため、前作終了の2015年12月から新章開始の2017年3月の間は、敢えて仙台ローカルで足場を固めることに専念していたと想像できる。それゆえ第1話感想でも書いたとおり、この間にメンバー7人の仲が深まり、ユニットとしての安心感が出来てきたのだと思う。ただ一方でそれは、この間ぬるま湯に浸かっていた状態とも言え、いざ全国ネットの番組に出ると、素人っぽい油断が現れてしまうのだろう。第2話でも、そういった素人臭さが描かれることになる。

 第1話の最後に社長が「やるわよ、全国ツアー!」とブチ上げ、第2話にてメンバーたちにそれが告げられる。しかも最終会場として仙台スタジアム(名前からして当然万単位のキャパだろう)を押さえたという。しかし現在のWUGに当然そんな集客力はない。そこでまずピンの活動によるメンバー個人の露出機会を増やし、知名度を上げていく作戦を立てた。また同時に、メンバー全員が集まる機会が減るため、7人が一軒家で共同生活をすることになる。シリーズ演出的には恐らく、メンバー個人にスポットを当てやすくなると同時に、共同生活という設定によって、日常シーンとメンバー同士の喧嘩と和解といったシーンも入れやすくなるという狙いがあるのだろう。

 さて、早速第2話でスポットを当てられたメンバーは夏夜と実波、特に夏夜のほうだ。二人は全国ネットのご当地紹介番組に出演することになり、有名な食レポ芸人たちと並んで仙台料理を紹介することになる。食レポと言えば、その食べっぷりのよさが自慢で、仙台ローカルでは「うんめ〜にゃ〜!」の決まり台詞が人気の実波だが、しかし全国番組ではそんなアットホームな反応は返ってこず、食レポ芸人たちのリアクション芸に圧倒されてしまう。ただ、アイドルは太ると困るからこういうのはできないよねと、遠回しに馬鹿にされたことで夏夜がブチ切れ、「アイドルのカロリー消費なめんなよ!」と啖呵を切って食べまくってみせた。当人は収録後「やっちゃった…」と落ち込むが、これが思いのほか受けて、その後も二人に食レポ番組が舞い込むようになる。

 しかし連日の食レポ収録のため、夏夜が体重を気にしはじめる。だが「アイドルのカロリー消費なめんなよ!」と啖呵を切っていた手前、そのことをメンバーにも打ち明けられず、帰宅後もみんなとの食事を避けて、こっそりランニングに出たりしていた。しかしすぐにみんなにも発覚することになり、笑って励まされて、結局あまり悩んでも仕方ないよねって感じで丸く収まったのである。そしてみんなでお菓子をつまみはじめるという、メンバーの仲睦まじさが演出されて、このシーンは終了となった。めでたしめでたし。

 ……いや、果たしてそうだろうか?これ、間違いなく今後の落とし穴が示唆されてるよね。最初の食レポ番組では経験不足を露呈。とりあえず勢いでその場はいい方向に転換出来たものの、決して考えて乗り切ったわけではない。その結果、その時の勢いに縛られて、体重管理に失敗。しかしそのことも、メンバーみんなから笑って励まされて、何となく解決したような締め。でも、この回で起こった問題は、結局何も解決されていないのだ。WUGちゃんたちが和気藹々として、視聴者もほっこり気分になったかもしれないけど、これ、まさにぬるま湯に浸かった状態じゃないだろうか。折角与えられた引き締めの機会も、ゆるっとやり過ごしてしまっているのである。特に、最後にみんなでお菓子に手を出してしまうシーン。完全に弛緩している。

 そしてこのシーンから切り替わった瞬間、前作でWUGを叩き上げた早坂の登場だ。彼は仕事がどことなく捗らない中で、一瞬テレビを点けてそこに映った夏夜と実波を見、無表情にすぐそれを消した。現状に何か満足してない様子であることは明らかだ。そこにかかってきたI-1 Clubプロデューサー白木からの電話。I-1の新曲の件はどうなっていると聞く白木に、「どうも気分が乗らなくて。」とだけ答える早坂。それに対し「本当にそれだけか?」と問う白木。ワンシーン前のWUGとのコントラストに、今後このままではいかないであろうというWUGの未来が暗示されていると言えるだろう。

 また、そのまま切り替わった場面で登場した白木。スマホを手にしていることから、早坂との電話を切った直後かと思いきや、その画面に映っていたのは、この話の中で度々映し出されていたヴァーチャルアイドルの姿だ。現時点ではこのヴァーチャルアイドルが物語にどう関わってくるのか全く分からないが、何かしらWUGの活動をかき回すギミックになるのだろう。

 将来Run Girls Runとなる中学生3人も、今のところWUGにどう絡んでくるのかは読めない。しかし後輩の出現が、現在ぬるま湯に浸かっているWUGに刺激を与えていくことは確かだろう。

 今の和気藹々な雰囲気に騙されてはいけない。来週以降楽しみになってきた。